2014年5月27日火曜日

「印傳極楽金魚」⑦希守池實


「まあ、聞け若人。江戸時代の天海僧正という坊主がのう、徳川の家康君に福の大黒天、威光の毘沙門天、愛嬌の弁才天、人望の恵比寿天、長寿の寿老人、清廉潔白の布袋、度量が大きいというところの福禄寿の7つの福が人生にとって大切であると説いてナヤ、家康君が七福神信仰を奨励しちょったのよ。そんで、恵比寿さんは日本のもともとの神道からキチョルが、ほかは中国からやのー。まあ、そぎゃんことはどうでもヨカけど、古きインドでは、毘沙門天とは四天王の一尊で武神なのじゃ、守護神であるぞよ。まあ、由来はともあれ今のわしは単なるビシャモンなんじゃ、お前の心の武神、守護神として今ここにある。」
「ビシャモンなの、ポケモンのモンスターをゲットしたようなものなのかな。」
「アニメといっしょにすな。有象無象にモンスターなみに無駄にはおらんわ。同じ天冠取っ払われたダイコクとベンザイくらいしか仲間はおらんよ。ここにふたり呼んじゃろか。ダイコクもベンザイも同じ境遇でな。」
「よしてくれよ。あんたみたいのが三匹もいたら、本気で気が狂ってしまうよ。」
「三匹とは聞き捨てならんぜよ。身を借りてるだけじゃよ。入魂しているだけじゃ。今の姿は。実際は仏教での不動明王のような姿をしとるったい。」
「武神とか守護神というけど、それでどういうことなのよ。」
「まあ、自己紹介はこんなことで、ま、よろしくです。どういうことだといえばな、例えば戦国時代に上杉謙信っておったやろうが、あの名将は毘沙門天を崇拝し、“自分は毘沙門天の転生だ”とも言うとったろうが、知っとうや。」

「ええ、毘沙門天を祀っていたと時代小説で読んだことはある。」

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