2014年5月29日木曜日

「印傳極楽金魚」⑧希守池實


「それじゃ、そん時も実はわしがおったんじゃ。そん時はのー、虎というか、山猫に合体しての、最初話しかけたときは大変じゃった。あの兄ちゃん日本刀抜きやがって、ぶった切られるかと思ったで。まあぶった切られても、わしゃ死にゃせんけんどな。しかしすごい勢いで刀を振り回しよった。よっぽど、キャツも驚いたんじゃろうな。山んなかで、狩ばしよるときに山猫見つけて、その山猫が逃げもせんで、近寄ってきて「こら、影虎。」て話しかけてきたら、そりゃビックリするで。度肝抜かれたと後で言いよったよ。」
「そりゃそうでしょう。ビックリどころか気がふれたかと思ったでしょう。よ。」
「しかしな、時々選択を誤る時もあるのよ。お前らみたいに脳みそが雄大にできてるやつは、納得してわしの恩恵にあずかるのじゃガ。ほんとに気がふれたやつもおったったい。そりゃ。そこでゲームオーバーですね。かわいそうなことでした。どげんもこげんもできんかったっちゃ。仕方なかねー。自分でおかしくなりよる。」
「もう、なんでも好きに言ってよ。誰だっておかしくなるよ。」
「常識でしか判断できんやつは、ようなか。信じられんような現象ば、普通に面白がらんば、ねー。人生はおもしろがることよ。」
「で、上杉謙信をどうしたの。」
「猫宙返り、猫交わし、猫すかし、猫払いで彼のぶん回す刀を逃れたら驚いてな。彼は、おまんより早くわしを面白がりよった。手下にするけん、ついて来いとぬかしよったとよ。まあ天下国家を語る大物になるお方じゃ。しばらくめんどうみてやったんさい。」

「どうにかならないの、そのめちゃくちゃな方言使いは。」

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