⑧同日夜・城内
国家老と重役衆、そして選ばれた7名の若者が対座している。
選ばれた若者は国家老をはじめ他の重役衆の実子だけであった。
国家老恒松の次男 恒松豪太夫 24歳
三男 恒松義三郎 20歳
年寄衆相良の次男 相良多門 19歳
瀬戸石 長男 瀬戸石左近 26歳
三男 右近 19歳
免田 次男 免田黙兵衛 21歳
多良木 長男 多良木兵庫 18歳
「子細はいま伝えた通りじゃ、藩の為首尾よう、やってくれい・・・」
七人の若者たちをゆっくりと見回しながら家老恒松義彦は、悲痛な別れの声を皆にかける。
「用意は万全じゃ、さあ、すぐにも発て・・・」
と、年寄瀬戸石四朗五郎の声が未練を断ち切るように低く響いた。
七名の若者は、命を懸けた刺客として密かに城を発ち、竹山の山小屋へと向かった。
途中誰一人として声を発する者もなく、振り返って城下を見るものもいなかった。
細い月のみがわずかに山道を照らしている暗い夜であった。
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