2013年7月4日木曜日

「カサノヴァ探偵局」序章③

二件目のバー“箱”に入って同じようにバーボンソーダをオーダーした時、携帯電話に
着信があった。
アシスタントディレクター、ADの美津島からだった。出ようとしたが面倒くさく思い、イキナリ切った。申し訳ないと思ったが。
「箱」には数年前から通っている。バーテンは今言うイケメンで、また逞しくハーレイダビットソンを乗り回すハードライダーだ。二杯目をバーテンにオーダーした時、再び着信があった。暫らくバイブレーションを感じた後、携帯は留守番電話に切り替わった。
また美津島からだろう。どうせ暇になったから酒でも飲ましてください、くらいの話だろう。あいつも酒癖悪いからな・・・飲ませろ、女のいるところに行きましょうよなどとうるさいはずだ。と思いながらほっておいた。

そのハードライダーのバーテンとは、世の中にはどれくらいのお金が存在するのだろうか、とか金にまつわる話をしていた。
1万円が1万個あれば1億だよな。1億が1万個あれば1兆だよな。1兆が1万個あって1京か、1京が1万個あって、その次の単位ってなんだっけ。」
「ガイっていうのでは・・・」
「その上は不可思議、摩訶不思議だったっけな。どうでもいいか、宇宙に飛んでけという感じだな。とにかく俺たちにはなぜかでかい金が回ってこないことだけは確かだな。」
「数十億手にしても、どうすればいいかわからないでしょう。僕たちは汗水流して普通に生活できればいいですよ。小市民で。」
「そうだけど、金があれば事業投資とか財テクとかできるだろう。金が金を生むようになるのさ。好きなことできるじゃないか。遊んで暮らせる。眠り口銭で暮らすのさ。」
「事業や財テクで失敗しなければね。あまり金持っていても毎日落ち着かないらしいですよ。周りのものが皆強盗に見えてきて、夜も眠れないらしいですよ。銀行に預けていても潰れることもあるじゃないですか。銀行が潰れるなんて考えなかったでしょう。それとも現金や金の延べ棒で持っていても金庫に入れて毎日金庫番ですか。それとも自分ちの裏庭にでも埋めときますか。シェルターの地下室でも作ってセキュリティ完璧にして保管しておきますか。大変ですね。」
「そりゃ、金を手にしてから考えますか。」

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